遠野物語拾遺189話
上郷村佐比内の佐々木某という家の婆様の話である。以前一日市の甚右衛門という人が、この村の上にある鉱山の奉行をしていた頃、ちょうど家 の後の山の洞で、天気のよい日であったにもかかわらず、にわかに天尊様が暗くなって、一足もあるけなくなってしまった。そこで甚右衛門は 土に跪き眼をつぶって、これはきっと馬木ノ内の稲荷様の仕業であろうと。
どうぞ明るくして下さい。明るくして下されたら御位を 取って祀りますと言って眼
を開いて見ると、元の晴天の青空になっていた。それで約束通り位を取って祀ったのが、今の馬木ノ内の稲荷社で あったという。
2010.06.19
遠野市上郷町佐比内15地割
遠野物語拾遺189話に出てくる稲荷神社です。採石場からさらに少し奥に入ると、田圃の先に赤い鳥居が鮮やかに見えます。休耕田を歩いて神社まで。手水も ありなかなかこざっぱりとしていい感じ。境内はないに等しいですがお堂に後ろになにやら納屋らしき建物が。お堂にはぐるりと網がかけられていました。山鳥 に巣掛けされるのを防ぐためでしょうか。