綾織駒形神社
「遠野物語拾遺」十四
綾織村の駒形神社の境内には、竜石という高さ四尺ばかりの、褐色の自然石がある。昔村の人がこの石を曳いてここまで来るとどうしても動かぬので、そのまま にしておくのだという。何のために曳いて来たかは伝わっていない。竜石という名前も元はなかったが、ある時旅の物知りが来てこの石の話を聞き、ぜひ見たい というから案内をして見せると、この石は竜石という石である。それここが眼でこれは鼻、これが口だ耳だ首だ胴体だといって、とうとう竜の形にしてしまった ので、村の人ももっとものことだと思ったという。
「遠野物語拾遺」十五
この駒形神社は、俗に御駒様といって石神である。男の物の形を奉納する。その社の由来は昔ちょうど五月の田植え時に、村の若い女たちが田植えをしていると ころへ、一人の旅人が不思議な目鼻もないのっぺりとした子供に、赤い頭巾をかぶせたのを背中におぶって通りかかった。そうして今の御駒様のある処に来て休 んだ。あるいはその地で死んだともいう。それがもとでここにこの社が建つことになったそうな。
二つ目の伝承の意味がよくわかりませんね。
村の若い娘と旅人の間になにかがあった。ということでしょう。
旅人が休んだだけで社を建てることはありません。
旅人が死んで、それがもとで社を建てる。旅人の霊を弔うという意味なんでしょう。
この神社のご神体は男性器の形をした石棒でこの旅人が置いていったものとして伝えられているとのこと。旅人が背負っていたのっぺりした子供とは、この石棒ではなかったかと想像できます。
一つ目の伝承の竜石。
この下にその旅人が眠っているとしたら。
この伝承、なんとも想像をかき立てられますね。
2012.05.23
遠野遺産100号
遠野市綾織町下綾織31地割37番地
「遠野物語拾遺」十四、十五話に書かれている神社です。運び出しの途中で動かなくなった自然石もあります。お社の周りには大小様々な石塔が囲むように並ん でいます。
自然を破壊するだけでなく集落を分断する高速道路。駒形神社前の景観も破壊され、一昨年この神社のすぐ傍で縄文遺跡の発掘作業が進められいましたが、埋め戻され釜石自動車道がこの縄文遺跡の上を容赦なく通ります。
復興という名の大義名分をかざした高速道路建設が遠野にもたらすものとは。
2011.08.21
遠野遺産100号
遠野市綾織町下綾織31地割37番地
「遠野物語拾遺」十四、十五話に書かれている神社です。運び出しの途中で動かなくなった自然石もあります。お社の周りには大小様々な石塔が囲むように並ん でいます。
昨年 この神社のすぐ傍で縄文遺跡の発掘作業が進められいましたが、すでに埋め戻され釜石自動車道が上に乗っかります。